JALのアナウンス変更はポリコレ?中国のネット民が称賛を送る

JAL(日本航空)が10月1日から機内アナウンスを「Ladies and gentlemen」から「Everyone」「Passengers」に変更しました。その背景にあるもの、ポリコレとの関係についてまとめました。

JALが機内アナウンスを変更!その背景にあるもの

日本の大手航空会社であるJALが10月1日から機内アナウンスを『Good morning everyone(または『Attention, all passengers.』).』に変更する方針を出しましたが、その背景にあるのは性的マイノリティへの配慮です。

2年前に都内で開催されたイベントで、参加者からJAL社員が「なぜ英語のアナウンスは男女が前提なのか」と質問されたことが今回のアナウンス変更のきっかけとなりました。JALでは社内を多様な人材が活躍できる場とすることを目標としており、これをきっかけに1年半かけて表現を変更することになりました。

さらに、機内アナウンス変更に先駆け、今年4月には7年ぶりに客室乗務員やパイロット、整備士らの制服デザインを変更しましたが、女性客室乗務員の制服に初めてパンツスタイルが加わりました。マイレージカードの名前表記も性別表記がなくなり、本来家族で利用できるマイルサービスに関しても公的証明書があれば同性パートナーであってもサービスが利用可能になりました。

いつも格安航空会社を利用していたのでJALがこれだけ変更を加えたということはつい最近知りました(笑)今は女子学生服にもパンツスタイルが認められている学校も増えてきていますよね。逆に男子はスカートを認められているのか?もし認められていないなら不公平では?と思いましたが、女子のスカート程認められていないようではありますが千葉県の柏市立柏の葉中学校や埼玉県の市立吉川中学校では男子生徒がスカートを着用してもOKだそうです。

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JALがアナウンスを変更したのはポリコレ?中国のネット民が賞賛した訳

ところで、今回のJALのアナウンス変更に関して中国のネット民が反応を示しています。書き込みによると、「これは良い」「素晴らしい変更」「確かに“Ladies and Gentlemen”は淘汰されるべき時が来たと思う」「性が多様化しているのだから、男女ではくくり切れない」「一部の学校の出願書でも、性別の欄が多様化している」「(性的マイノリティーは)尊重されていると感じる」と、概ね好意的に受け止められているようです。

反対に、「過剰反応では?」「現状のアナウンスで不快になっている人がいるのか」といった声もありました。さらに、「わが国の国民の考え方が改まるのは、まだ長い時間がかかりそうだ」「20年前に6車線の道路を整備した時、『道が広すぎる』と文句を言う人もいたんだ(今ではいない)」という問題提起をするコメントも散見されました。

さて、これらの声を踏まえて一度考えてみましょう。

これまで、「ポリコレ(PC)」という言葉を耳にしたことはありますか?艦これじゃないですよ、ポリコレです(笑)正式名称は「ポリティカルコレクトネス(Political Correctness)」と言います。意味は、「性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用することを指す」というものです(Wiki参照)。

具体例を出すと、看護師や客室乗務員という名称がそれです。看護師は以前は「看護婦」、客室乗務員は「スチュワーデス」と呼ばれている時期がありましたね。スチュワーデスは元々男性客室乗務員の総称であった「スチュワード」の女性形として使われていましたが、性差別的だとして、以下のように変更されました。

ANA(全日空)→1987(昭和62)年まで使っていた「スチュワーデス」を前年の国際線進出と男女雇用機会均等法施行に合わせて変更

JAL(日本航空)→1996(平成8)年9月まで「スチュワーデス」という職位と呼称が存在。スチュワーデスの上位職が、アシスタントパーサー、パーサー、チーフパーサーだった。同年10月からこれらの職位の呼称を変更するタイミングで、客室乗務員の呼称が「フライトアテンダント」に変更。しかしこの名称が浸透せず、「客室乗務員」「キャビンアテンダント」「キャビンクルー」「CA」が混在する形に

ちなみに、英語ではキャビンアテンダントという単語が客室乗務員であると認知されていないこともあり(日本で生まれた単語であるため)、「フライトアテンダント」や「キャビンクルー」と言うと伝わりやすいそうです。

このくらいの判断だったら特にポリコレが問題とはならないと思いますが、実は世界的に結構問題視されているのがポリコレなんです。例えば、人種差別の例が分かりやすいと思いますが、「黒人をBlackと呼ぶのはダメ、African Americanと呼ぶ」といったものです。

ポリコレは「不快に感じる人がいる言葉はダメ」というのが根本であるため、場合によってはポリコレを押し付けだと感じる人も出てくる訳です。片方が良いと思ってももう片方が不快な思いをしたりする可能性があります。
さらに問題なのは、差別主義者と呼ばれることを恐れて、問題の本質を見ずに「メンドイからとりあえずこっちの単語使っとこ」となる人が増える可能性があるということです。「ケンカをした時に謝らないと自分の印象が悪くなるから反省してなくても謝る」と同じような心理ですね。

表面的にとりつくろえばその場は穏便に済ませられますからね。問題の原因をハッキリさせずに体裁だけ整えるということは、結局のところ、何も問題解決には至っておらず、かえって解決を遅らせる要因にすらなります。大事なのは、「黒人にブラックと言わないこと」「アジア人にイエローと言わないこと」ではなく、人種差別の何が悪いのか、どうやって差別をなくしてみんなが自分らしく幸せに生きられるのかということです。

まとめると、「ポリコレという概念自体は良いものだが、使い方を考える必要がある」ということです。これは何にでも言えそうなことだと思います。

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JALのアナウンス変更とポリコレに関するネットの反応

JALがアナウンス変更したことに関してのネットの反応を集めてみました。概ね肯定的に捉えている印象ですが、言葉狩り(ポリコレ)を心配している人も見受けられます。

https://twitter.com/tim_lifestyle/status/1311537901532979200?s=20

賛否両論あるけど、JALのジェンダーマイノリティーに配慮しようという姿勢は素敵だと思うし、All passenger にして困る人いないんだから別に変えればいいんじゃないかと思う。

そこまでやる必要あるかなぁ?
気にしてる人がいない事に、必死に気を使う世界になっていってるような気がする。

私はXジェンダーなのでこのような計らいはとても嬉しいです。このリプ欄には、馬鹿馬鹿しいの一言で片付けている方がたくさんいるので悲しくなりました。

JALのアナウンス変更はポリコレという程ではなく妥当な判断

長くなりましたが、今回のJALの判断は良かったと思います。EveryoneやPassengersと呼ばれて該当しない人が存在せず(「Ladies and gentlemen」だとどちらにも該当しない人が存在しますからね)、不快になる人がおそらくいないからです。ポリコレを言葉狩り的に使うことには賛同できませんが、今回のJALの対応は“正しいポリコレの使い方”だと思います。

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